「そもそも、スポーツとはなんだろう?」
この記事を書くきっかけになったのは、当ブログのこちらの記事「恐ろしく正確な世界のスポーツ競技人口・2018年度版」を書いたときに感じたことからです。
スポーツって、筋書きのないドラマとかよく言うけど、ほんと見るだけでも楽しいですからね。
ただ、上の記事を書いていて最初に思い浮かんだ疑問があります。
それは、「スポーツの定義ってなんだろう?」ということです。
あなたは答えられますか?スポーツの定義。
競技人口とは、文字通り競技をしている人口のことですが、競技をしているかいないかの基準、すなわち競技者を数えるための境界線なんてのは明確に定められていません。
つまり、定義のないものの正確なデータなんて存在するわけがないのです。
このような事情から、「恐ろしく正確な世界のスポーツ競技人口・2018年度版」では代替えとなる解決案を用意し、訪れた方が納得のいくであろう情報を提示しているわけです。
が。…疑問がすべて解決したわけではありません。
そこでこの記事では、スポーツという言葉の持つ意味と、いつからそう呼ばれるようになったのかという語源、さらに現代におけるプロスポーツの解釈、すなわちスポーツの定義について徹底的に追求し、「スポーツとはなにか?」という疑問をスッキリさせたいと思います。
スポーツの意味
まず、スポーツとはどんな意味があるのでしょうか。
「スポーツ」と「定義」というキーワードで調べてみました。
ウィキペディア(Wikipedia)
言葉の意味を知るツールとして、おそらく現代最強の百科事典であるウィキペディアでは、
スポーツ(アメリカ英語: sports、イギリス英語: sport)は、一定のルールに則って勝敗を競ったり、楽しみを求めたりする身体運動のこと。
と記されています。
一定のルールに則って(のっとって)勝敗を競う、楽しみを求める身体運動とあります。
スポーツ庁
2015年10月に日本の行政機関として新たに設置されたスポーツ庁。
そのWeb広報マガジンでは、以下のように定義されています。
スポーツとは「身体を動かすという人間の本源的な欲求に応え、精神的充足をもたらすもの」
ウィキペディアとは異なった表現になっていますね。
リンク先の記事を見るとよくわかりますが、スポーツ庁の考えるスポーツとは、特定の人に限定されない誰もが楽しめるものであるといった見解のようです。
オリンピック憲章
スポーツと言えばやはりこちら、オリンピックです。
スポーツの定義、という項目は見当たりませんでしたが、オリンピックの原則を成文化したオリンピック憲章内の『競技、種別、種目を加えるための承認基準』にこんな記載がありました。
競技の結果が、本質的に、機械的な推進力に依存する競技、種別もしくは種目は受け入れない。
オリンピックの正式競技・種別・種目となる基準を表したものですが、機械的に依存するものは選ばれないとあります。
この基準からいくと、射撃やアーチェリー、自転車競技については若干機械的な匂いがするものの、あくまでも結果に依存するほどではないため、正式競技になっているということのようです。
スポーツ(sport,sports)の語源
では、スポーツの語源を見てみましょう。
deportare・デポルターレとは?
スポーツの語源は、ラテン語の「deportare・デポルターレ」です。
Google翻訳でdeportareを訳してみると、「キャリー」でした。
キャリーで思いつくものと言えばそう、キャリーバッグ。
旅行をするときの必須アイテムですが、通常のバッグと違うのは小さな車輪がついていることですよね。
そのキャリーという言葉には、「運送・運搬・移動するもの」という意味があります。
つまり、キャリーバッグは「運ぶのに適した鞄(かばん)」ということです。
しかし、今あなたが感じたように、これだけではいまひとつピンときませんね。
本題はここからです。
ラテン語のdeportareを詳しく解体してみると…
- de=~から
- portare=移動
つまり、「どこかから移動する」という意味になるんです。
そのどこかというのは、今、現実のことです。
おおげさに言ってしまえば、deportareとは現実逃避となります。
現実とは、生きていくことです。
生きていくために必要なことと言えば、かつては狩猟や農耕といった、生命の維持に直接的に関わる行動でしたが、現代では、仕事をしたり学校に行ったりすることが現実ですね。
つまり、deportareの意味は、生きるために必要な普段の生活から解放される手段ということなのです。
その原点から時を重ね、現代においては遊戯や娯楽のみならず、ルールを設けた競技も含めるすべての総称となり、deportareという言葉自体も次第に略されていって「Sport」と表現されるようになったのです。
きゃりーぱみゅぱみゅの「きゃりー」の由来
キャリーで思いつくものと言えば、もうひとつありますね。
そう、きゃりーぱみゅぱみゅです。
正式名は、きゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅ。
世界規模で活躍する日本のビッグアーティストですが、彼女の名前に含まれるきゃりーの由来は、高校時代、金髪に外国人を意識したファッションを好んでいたため、友人からつけられたあだ名だそうです。
「外人っぽいから、きゃりーがいんじゃね?」ってことですね。
「もしかしたら…」と思いましたが、きゃりーぱみゅぱみゅの「きゃりー」はスポーツにはまったく関係ありません。
スポーツの定義とは
以上のことから、スポーツが持っている本質とは、日常から開放される息抜き・リラクゼーションとなるわけですが、現代におけるスポーツとは、単なる息抜き以外の様々な要素も含まれるようになっていますね。
かつてのスポーツと現在のスポーツで1番異なる点は、ルールによって競われるようになったことではないでしょうか。
本来、スポーツとはリラクゼーションであり、例えばウォーキングやジョギング、登山といった誰もが楽しむことのできる心のオアシスだったはずです。
しかし、そこに競うという要素が新たに加わったことによって、競い合う人、つまり競技者というものが確立され、その競技者を見て楽しむということ自体もスポーツの魅力となりました。
このように、スポーツの語義には時代によって多種多様化してきた歴史があり、「スポーツの定義とは○○です。」と言い切るのは極めて難しいことです。
しかし、あえてその答えを出すならば、deportareという語源の持つ意味を念頭に置くと、「スポーツとは、人々が日常から解放される憩いの場」というのが適切な表現ではないでしょうか。
スポーツに対する日本と世界の認識の違い
日本では、スポーツと言えば、野球、サッカー、バスケットボールにマラソンなど、全身を積極的に動かすものというイメージが強いですが、欧米諸国では、遊技やテレビゲームもスポーツとしてとらえられているようです。
『デジタルゲームの教科書』で公開されているスポーツの3分類を参考にすると、日本人のイメージするスポーツは「フィジカルスポーツ」となります。
チェスや囲碁、ポーカーやマージャンなどは、日本ではスポーツというよりも遊技・遊びと呼ぶ方が一般的ですが、これらは「思考的なスポーツ」としてとらえられています。
さらに、やはり日本では遊びのひとつとしてとらえらえているコンピューターゲーム、いわゆるテレビゲームですが、こちらは「エレクトロニック・スポーツ」と呼ばれ、電子的なスポーツとしてとらえられています。
実はこのエレクトロニック・スポーツ(通称eスポーツ)ですが、海外では数万人規模の世界大会が定期的に開催されており、高額な賞金が話題になりました。
プロ選手の年収は数百万~億単位で、すでに、2022年に中国で開催されるオリンピックのアジア版、アジア競技大会の正式種目にも決定しているんです。
そのため、いずれは本家のオリンピックに採用される日がくるのかもしれません。
- スポーツ=運動
- スポーツ=ダイエット
- スポーツ=ハード
あなたにもこんなイメージがありますよね?
しかし、そう考えているのは日本人だけで、スポーツはもっと我々の生活に浸透している存在なのかもしれませんよ。
なぜなら、スポーツの原点はdeportareなのですから。
現代が生み出したプロスポーツという概念
最後に、プロスポーツの意味について考えてみます。
真面目にふざけるのが仕事
真面目にふざけるのが仕事。
一見すると両極端な言葉の組み合わせに違和感を覚えますが、この言葉には1人の人間の強い意思が込められています。
そこで、ひとつエピソードをご紹介します。
現在は終わってしまったフジテレビのバラエティ番組、「めちゃ²イケてるッ!」の名物企画「岡村オファーシリーズ」で、ナインティナインの岡村隆史がEXILEのライブにパフォーマーとしてサプライズ出演する「オカザイルスペシャル」の一場面。
ライブ本番前のリハーサルで、一緒に出演するチビッ子ダンサーと最終チェックを終え、メイク直しと称して部屋を出ていき、その数分後、おかっぱ頭に赤いほっぺたで鼻水を垂らした「ふざけたメイク」でリハーサル室に戻った岡村。
その格好を見たチビッ子ダンサーの一人から、
「それって悪ふざけじゃないんですか?」と鋭いツッコミが。
岡村はそれに対してすかさず、
「おっちゃんはねぇ、真面目にふざけるのが仕事なんだよ!」と返答。
熱くなった岡村から飛び出した一言ですが、プロとしてのプライドを感じさせる名言となりました。
プロスポーツとは真面目に遊ぶことである
スポーツとは、人々が日常から解放される憩いの場であると話しました。
そのため世界の認識では、単に運動だけを指すわけではなく、日本では遊びととらえられる遊技も、スポーツのひとつとしてとらえられています。
つまり「スポーツ」という言葉には、遊びという意味も含まれることになります。
そして「プロ」という言葉は、その道で生計を立てている人、その道を極めた人、エキスパートやスペシャリストといった意味を持っています。
ということから、「プロスポーツとは、真面目に遊ぶことである」とも言えるのではないでしょうか。
プロスポーツ選手の遊びに対する真剣度が高ければ高いほど、訪れた観客は大きな感動や興奮にひたることができ、娯楽として成立します。
現代が生み出したプロスポーツとは、人間の生きるための手段を大きく増やしたのは間違いありません。
まとめ
- スポーツの語源はラテン語のdeportare
- 日常から解放される手段という意味で用いられてきた
- 日本と世界ではスポーツに対する認識に違いがある
- プロスポーツ選手は真面目に遊び、そのプレーを見にきた観客が真面目に楽しむのが娯楽
「恐ろしく正確な世界のスポーツ競技人口・2018年度版」では、世界的に見ると野球はマイナーなスポーツだった事実が判明しましたが、今回は、世界では遊技やテレビゲームといった遊びもスポーツとしてとらえているという新たな事実が判明しましたね。
改めて、世界の広さを実感です。
日本と世界の違いはこんなところにも表れていますよ。>>>プロスポーツの資産価値ランキングでわかる世界と日本の差