強豪国のサッカースタイル・第6弾 ブラジル編 | 真面目に遊んで生きてくレシピ

強豪国のサッカースタイル・第6弾 ブラジル編

リオのコルコバードのキリスト像

現在サッカーは、IFABが定める競技規則によって、全世界共通のルールのもとにプレーされています。

しかし、共通のルールがありながらも、世界各国には様々なサッカースタイルがあります。

例えば、グループの規律を重視するヨーロッパ、それとは逆に、個人技を重視する南米。

いったいなぜこういった違いが生まれるんでしょうか。

そこには、体格や人種、生活スタイルなどの国民性から、政治、経済、音楽、言語などの文化までもが複雑に絡み合い、サッカー誕生から150年以上という長い歳月をかけて築き上げられてきた歴史があったのです。

そこで、「強豪国のサッカースタイル」と題したこの特集では、サッカーバカ歴20年の僕がその答えを求めるため、ワールドカップの強豪国、さらには強豪クラブチームがひしめいているヨーロッパと南米に絞って、各国のサッカーの由来に迫り、スタイルや戦術の違いを詳しくまとめてみました。

第6弾となる今回は、ワールドカップ最多5度の優勝を誇る王国、ブラジルをご紹介したいと思います。

↓第5弾・トータルフットボールを確立したオランダ編はこちらからどうぞ。

サッカー強豪国、オランダのサッカースタイルをまとめました。「トータルフットボールとはなにか?」「アヤックスユースアカデミー出身の選手は誰か?」といった疑問を解決できます。
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ブラジルの歴史と文化

ブラジルと言えば、やっぱりサンバですね!
国民が親しむ伝統的な音楽ですが、実はブラジルサッカーに大きく影響しています。

その歴史を紐解いてみましょう。

カポエイラとサンバとジンガの関係性

ブラジルには、カポエイラという独自の文化があります。

足技を中心とした格闘技に楽器や歌による演奏がつけられ、ダンスのような格闘技のような不思議な動きを見せる伝統芸ですが、このカポエイラの基本ステップとサンバの基本ステップが酷似しているため、ブラジルのサンバはカポエイラのステップが原型となって生み出されたと考えられています。

これと同じように、カポエイラを起源に生まれたのがジンガです。

ジンガとは、カポエイラの基本ステップにボールを絡めるようなテクニックのことで、非常に滑らかなボールタッチを可能にします。

ただし、母国ブラジルではスピリット、信念、プライドといったような意味も持っているため、単なるテクニックのひとつではなく、ブラジルの歴史に深く刻まれているアイデンティティと言えます。

ブラジルのサッカースタイルは、こういった歴史と文化によって確立されてきました。

緩急をつけたスピードの変化はもちろん、上半身を左右に大きく振ってみたりボールを跨いでみたりと、派手で多彩なフェイントを駆使してディフェンダーを翻弄するドリブラーが多いのにはこういったブラジルの文化が由来になっていたわけですね。

国民の半数が混血である理由

ブラジルにはもともと先住民が住んでいましたが、そこにアジア大陸から黄色人が、ヨーロッパ大陸から白人が、その後にアフリカ大陸からは黒人が移り住み、その結果、様々な人種が入り混ざって繁栄を遂げてきた移民文化の歴史があります。
そのため、現在のブラジル国民は、白人・黒人・混血という様々な人種が融合し形成されています。

人種 割合
白人 45%
黒人 9%
混血 45%
その他 1%

IBGE・全国サンプル家計調査・2015

ブラジルの人口は現在2億人を超えていますが、そのうちの45%は混血で占められており、さらに混血と黒人を含めた割合となると実に54%、国民の半数以上を占めます。

もともとは白人が生み出したフットボールというスポーツですが、ブラジルでは黒人の高い身体能力にジンガやサンバの要素が加えられて独自の進化を遂げ、ワールドカップの歴史にブラジルの名を刻んできたのです。

サッカー選手の輸出大国ブラジル

ブラジルサッカーの特徴は他にもあります。

それは、世界で最もプロサッカー選手を「輸出」している国であることです。
ブラジルがサッカー王国と呼ばれる所以(ゆえん)ですね。

しかし、なぜブラジル人は国外、それもヨーロッパに行くのでしょうか。

その主な理由は次の4つです。

ハングリー精神

ブラジルのサッカーや歴史について調べると、必ず出てくるのが「貧困層」というワード。

というのも、ブラジルの平均年収は86万円(日本は361万円)です。
貧困層の少年たちはプロサッカー選手になってお金を稼ぎ、両親や兄弟を裕福にしてあげたいという夢のストーリーを描き、実際にその筋書きを辿った成功例がいくつもあるため、ブラジルサッカーと貧困層は大きく関わりがあるわけですね。

王様でおなじみのペレ、そしてロマーリオ、ロナウド、ロナウジーニョ、ロベルト・カルロス、アドリアーノなど、貧困層出身のブラジル人スタープレイヤーは数え切れないほどおり、そんな彼らの道しるべになっているのです。

実際、ヨーロッパ主要リーグに所属する選手の平均年収を調べてみると、イギリス紙『デイリー・メール』の調査では、イングランド・プレミアリーグが4億1500万円、ドイツ・イタリア・スペインが2億円~となっていて、本国・ブラジル・カンピオナート・ブラジレイロは約1億円となっています。

ただ、近年はブラジル経済の好景気の影響で、彼らのような貧困層自体が減っており、「ハングリー精神旺盛な少年」も比例して減ってしまったように感じます。

2014ワールドカップブラジル大会を振り返ってみても、かつてのカナリア軍団のような個性豊かなタレントの数が減り、大物と呼べるオーラを持った選手が少なくなってしまった感が否めません。

プロサッカー選手の競争率の高さ

ブラジルには国内リーグとして、サンパウロFCやサントス、フラメンゴなどの名門クラブが参加している「カンピオナート・ブラジレイロ・セリエA」という立派なリーグがあり、南米のクラブチャンピオンを決める「コパ・リベルタドーレス」でも、好成績を収めています。

しかし、ブラジルの総人口は世界第5位の2億768万人、そのうちでサッカーをプレーする競技人口は1320万人。

上述の通り、ブラジル1部リーグの平均年収は約1億円、決して少なくない年収なんですが、そのフィールドで活躍するためには1320万のライバルと競わなればならないため、とても競争率が高くなってしまうのです。

輸出大国は犯罪大国でもある

これは不名誉で有名な事実ですが、ブラジルの治安の悪さは世界でも有数です。

当時現役だった、「悪魔の左足」を持つセレソンのレジェンド、ロベルト・カルロスが、携帯電話でラジオ生出演中に強盗に遭ったのは有名なエピソード。

ちなみに、日本を1とした場合のブラジルの犯罪発生率の比較がこちらです。

殺人 約28倍
強姦 約25倍
歩行者強盗 約1,500倍
自動車強盗 約1,700倍
住宅強盗 約120倍

歩行者強盗(ひったくり)、自動車強盗に関しては日本の1000倍以上。
もはや想像がつきません。

当然、ブラジルの犯罪発生率は、他の強豪国と比べても圧倒的に高い数字となっています。

世界最高峰のUEFAチャンピオンズリーグの価値

おそらく、ヨーロッパという大陸を選ぶ最大の理由はこれに尽きると言っていいでしょう。

それは、「UEFAチャンピオンズリーグ」という、ビッグクラブが一同に集結する世界でも屈指の国際大会があるためです。

一時的な召集で集まるワールドカップとはチームの成熟度が全く異なるため、UEFAチャンピオンズリーグは事実上、世界一レベルが高いと言われています。

つまり、その大舞台で活躍するということは、プロサッカー選手として最高の名誉のひとつになると共に、プロサッカー選手としてお金を稼ぐためのステップアップの場にもなるわけですね。

まとめ

世界一の選手層の厚さを誇る王国ブラジル。

ヨーロッパの各国リーグでも活躍するスタープレイヤーを多く輩出していますが、2014年、自国開催の準決勝でドイツに1-7と惨敗、3位決定戦でオランダにも0-3と完敗し、実に後味の悪い印象を残してしまったセレソン。

特に近年はメッシ、クリスティアーノ・ロナウドに独占されているバロンドール・FIFA最優秀選手賞ですが、超スター選手候補にあげられるネイマールが更なる輝きを見せ、そのネイマールに匹敵するクオリティを持つ「スペシャル」な選手が現れない限り、王国復権には時間がかかることでしょう。

↓次回は、南米のパリと呼ばれる国、アルゼンチンです。

アルゼンチンのサッカースタイルをまとめました。ディエゴ・マラドーナとリオネル・メッシの紹介、さらにサッカー強豪国のアルゼンチン代表がワールドカップで見せた戦術を振り返り、アルゼンチンサッカーのスタイルや特徴を解説しています。
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