強豪国のサッカースタイル・第5弾 オランダ編 | 真面目に遊んで生きてくレシピ

強豪国のサッカースタイル・第5弾 オランダ編

枯渇した夜の湖に立つトライアングルの建造物と男性

現在サッカーは、IFABが定める競技規則によって、全世界共通のルールのもとにプレーされています。

しかし、共通のルールがありながらも、世界各国には様々なサッカースタイルがあります。

例えば、グループの規律を重視するヨーロッパ、それとは逆に、個人技を重視する南米。

いったいなぜこういった違いが生まれるんでしょうか。

そこには、体格や人種、生活スタイルなどの国民性から、政治、経済、音楽、言語などの文化までもが複雑に絡み合い、サッカー誕生から150年以上という長い歳月をかけて築き上げられてきた歴史があったのです。

そこで、「強豪国のサッカースタイル」と題したこの特集では、サッカーバカ歴20年の僕がその答えを求めるため、ワールドカップの強豪国、さらには強豪クラブチームがひしめいているヨーロッパと南米に絞って、各国のサッカーの由来に迫り、スタイルや戦術の違いを詳しくまとめてみました。

第3弾となる今回は、現代サッカーに大きな影響を与えた人口1700万人の小国、オランダをご紹介したいと思います。

↓第4弾・安定の実績を誇るドイツ編はこちらからどうぞ。

ドイツのサッカースタイルをまとめました。この記事を読むことで、日本人と共通点が多いと言われるドイツ人の国民性、ワールドカップの舞台で安定した好成績を収めるサッカー強豪国ドイツ代表の戦術の特徴がわかります。
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ヨハン・クライフが確立した戦術

国の総人口は、東京都(1371万人)より少し多い程度の1700万人ですが、現在のサッカーには欠かせないものを生み出した「超小国」の功績は偉大です。

1970年代前半、オランダの名門クラブ・アヤックスの黄金期、さらに1990年代前半、イタリアの名門クラブ・ACミランの黄金期の中心には、オランダ人がいました。

ヨハン・クライフ(1947~2016)です。

そんな彼が現代サッカーに残した功績が、「トータルフットボール」という戦術です。

それまでのサッカーの戦術では、試合中選手は大きくポジションを変えることはせず、各ポジションにいる選手の閃きやセンス、単純な身体能力やテクニックなどが主体的であり、守備はディフェンス陣が担当、攻撃はオフェンス陣が担当していました。

一言でいうなら「個の力」に頼ったサッカーです。

しかし、このトータルフットボールは、戦術に新たな要素を加えたことによって、これまでのサッカーをワンランク上のものにしてくれたのです。

オフェンス時には複数の選手が流れるようにポジションチェンジを繰り返し、その間に空いたスペースを活用することで相手守備網の隙をつく。
ディフェンス時には、複数の選手が連動してフォアチェックやオフサイドトラップを行いボール奪取をするという「全員攻撃・全員守備」という画期的なシステムを作り上げたのです。

1970年代、ヨハン・クライフが中心選手となってその戦術を確立し、アヤックスは5シーズンで4度UEFAチャンピオンズカップ(現・UEFAチャンピオンズリーグ)の決勝へ進み、その4度の決勝進出の中で3連覇という偉業を成し遂げ、アヤックスの黄金期を構築しました。

この戦術のフォーメーションの大きな特徴は、サイドの空いたスペースを活用するため前線は2トップではなく、両サイドのタッチライン際にワイドに開いたウインガーを配置した3トップで臨み、中盤はワンボランチの逆三角形で成形する攻撃重視のスタイルであることです。

フィールドの中に三角形を次々に形成していき、極限までポゼンションを高めることで試合を支配する。

そうすることで、常に自分たちのペースで試合を進めることができ、相手に攻撃する時間を与えないため防御にもつながるという、高い技術・判断力・集中力が求められるストロングスタイルの戦術と言えます。

いわゆる「攻撃は最大の防御」というやつですね。

現代サッカーでは特にディフェンスの技術が著しく向上し、ゴール前の危険なスペース=バイタルエリアはスペースが埋められ、そう簡単には攻略させてもらえません。
そんな相手を崩すためには、サイドの空いたスペースをいかに有効に使えるかということが重要になってくるわけです。

そのアヤックスの戦術を継承し、進化させたのがスペインの名門・FCバルセロナです。

選手時代に中心人物だったヨハン・クライフが監督に就任し、戦術の浸透には多少の時間を要したものの、8シーズンの中でリーガ・エスパニョーラの4連覇、UEFAチャンピオンズカップ優勝も達成し、ここでもトータルフットボールが黄金期を構築することになるのです。

アヤックスが築いた育成システム

オランダが世界に与えた大きな影響のもうひとつは、「アヤックス・ユースアカデミー」というサッカー選手の育成組織です。

1985年、アヤックスのテクニカル・ディレクターに就任したヨハン・クライフによって設立されたこの組織の育成方針は、後に様々なクラブに取り入れられ、世界最高峰の育成組織として広く知られています。

有名なアカデミー出身者をあげてみましょう。

  • エドウィン・ファン・デル・サール
  • フランク・デ・ブール
  • ロナルド・デ・ブール
  • エドガー・ダーヴィッツ
  • クラレンス・セードルフ
  • デニス・ベルカンプ
  • パトリック・クライファート
  • マールテン・ステケルンブルフ
  • ラファエル・ファン・デル・ファールト
  • ウェズレイ・スナイデル
  • ヨン・ハイティンハ
  • ナイジェル・デ・ヨング
  • トーマス・フェルメーレン
  • ヤン・フェルトンゲン
  • トビー・アルデルヴェイレルト
  • ライアン・バベル
  • クリスティアン・エリクセン
  • デイリー・ブリント

主に代表やクラブチームで活躍した(している)アカデミー出身選手をピックアップして並べてみましたが、そうそうたる面々ですね!

このアカデミーの教育方針で特に面白いと感じたのは、簡単に言うと「怒らないこと」だそうです。
いわゆる「褒めて伸ばす方針」をとり、縛りつけないことで、感性や個性、自律心を育てることにつながるという理論のもとに成り立っているそうですよ。

まとめ

イタリアサッカーが「1-0の美学」なら、オランダサッカーは「5-4の美学」なのです。

攻撃的なサッカーを愛してやまないFCバルセロナのサポーター、バルセロニスタが迎え入れたオランダの哲学は、現代サッカーに大きな影響を及ぼしました。

EURO2008、2010ワールドカップ南アフリカ、EURO2012と、主要国際大会で初の3連覇を成し遂げたスペイン代表のベースにあったのは、オランダ人ヨハン・クライフが確立した戦術、トータルフットボールです。

サッカーを楽しむこと。
個性を伸ばす教育方針。

それがゆえに、時にはわがままな言動で秩序が乱されることもあり、今のところはワールドカップ優勝経験のないオランダ代表ですが、彼らが団結し優勝できるとしたら、この上ない魅力的なサッカーを見せつけてくれるでしょう。

↓次回は、王国・ブラジルです。

ブラジルのサッカースタイルをまとめました。この記事を読むことで、サッカー強豪国ブラジルのサッカースタイルの由来と、サッカー王国と呼ばれる理由がわかります。
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