今回は、「Kガイドとは何か?」を解説します。
なぜKガイドが誕生したのか、Kガイドを採用することによるメリットは何なのか。
画像、イラスト、動画を総動員してわかりやすくお伝えします。
Kガイドとは?
Kガイドとは、「ガイドフレーム」の一種です。
ガイドフレームとはこちらのこと。
ロッドについているメッキ調に光っている部分がガイドフレーム、釣り糸を通す黒くて丸い穴のことをガイドリングといいます。
「Kガイド」とはこのガイドフレームの形状がK構造であることを指しており、一般的にエントリーモデルよりも上位のクラスのロッドにはこのKガイドが採用されています。
上の画像はミドルレンジクラスのパームス ショアガンエボルブ991のK構造のガイドフレーム。
いっぽう、エントリーモデルであるプロマリンのシーバスロッドのガイドフレームはこんな形状をしています。
違いを比べやすいよう、ふたつを並べてみましょう。
上がK構造フレーム(Kガイド)のショアガンエボルブ、下が直立フレームのプロマリンのシーバスロッド。
ご覧のようにK構造のほうがロッドの先端方向にやや角度がついており、直立に比べてやや複雑な加工がされていることがわかります。
従来の直立ガイドの問題点
Kガイドのメリットは、ライントラブルが少ないことです。
国産のロッドのほぼすべのガイドが富士工業製と言われていますが、Kガイドのメリットはそんな富士工業のこちらの動画を見るとよくわかります。
以下、動画の要点を私なりにまとめてみます。
なぜか無音のややシュールな動画ですが、実験ではまず最初にライントラブルの原因を探っています。
従来の直立フレームでは、キャスト直後のライン放出時に横風が吹くと、ガイドフレームにラインが絡む「ループ絡み」が起きていました。
ループ絡みの原因は、ラインがティップに向かう力が働いたときにループを締めてしまうこと。
そこで、解決策が提案されます。
Kガイドの誕生まで
ガイドフレームの角度を70℃に変更
従来のガイドの問題点を考察し、提案された解決策のひとつめは、ガイドの角度の変更です。
これは、ループ絡みの原因である「ラインがティップに向かう力」がキャスト時に必ず作用するものであるため、逆にこの力を利用して絡みをほどけるのではないか、というアイディアから生まれたもの。
実験により、角度が90℃の直立フレームの場合、ティップ方向にラインを引いてもループはさらに締まるだけですが、フレームをティップ側に傾けてみると絡みが動きだすことが判明。
そこで、角度は絡みを動かしなおかつ糸通りも良い70℃に変更しました。
ブリッジの形状を変更
解決策のふたつめは、ブリッジの形状の変更です。
ブリッジとはリングの上の足の部分のことで、左側が従来のYガイドと呼ばれる形状のブリッジ、右側がKガイドのブリッジです。
実験の結果から、従来のYガイドでは、かぶったループがガイドの手前を通ったときはラインがほどけましたが、ガイド前方にループが回り込むと絡みがほどけないということが判明。
そこで、ブリッジをガイドリング横から伸ばし、なおかつ傾斜を二段傾斜にすることで、例えループがガイド前方に回り込んだとしてもラインが手前に移動するようになりました。
これにより、糸絡み自動解除フレーム「K構造」が完成したのです。
まとめ
- Kガイドとはガイドフレームの一種
- 従来の直立フレームでは横風が吹くとループ絡みが起きていた
- ガイドフレームの角度と形状を変更したらループ絡みが起きなくなった
- Kガイドとは、従来の直立ガイドの弱点を改善したガイドフレームである
Kガイドとは、ライントラブルを減らすために開発されたガイドフレームであり、メーカーの飽くなき探求心が生みだした技術の結晶。
そしてガイドフレームは、ラインの通り道であるリングを支える大事な足ですから、釣りをした後は使い古しの歯ブラシなどでしっかり洗浄しておくことをおすすめします。
この記事が、あなたの趣味をより豊かにできますように。
